金城一紀(かねしろ・かずき)さん(38)が、7月に刊行した短編集『映画篇(へん)』
小説『GO』で知られる直木賞作家、金城一紀(かねしろ・かずき)さん(38)が、7月に刊行した短編集『映画篇(へん)』が人気だ。8月末には、小説の内容を“追体験”するイベントを開催し、約400人のファンが集まった。金城さんは、「作家人生の中期を飾る代表作にしたかった」と語る。(会田聡)
≪シネマナイト≫
「“やんちゃ”な高校生の話が多かったこれまでの作品と異なり、『映画篇』はきれいな話で感動した」
短編集『映画篇』の内容を追体験するイベントが東京・銀座で開かれ、約400人のファンが詰め掛けた。
8月31日に東京・銀座で開かれた映画上映会「金城一紀シネマナイト」で、20代の男性はこう語った。デビュー作からのファンだという30代の女性は「読んでいくうちに物語がつながって、どんどん引き込まれていく。金城作品で一番好き」と興奮気味に話す。
『映画篇』は、「太陽がいっぱい」「ドラゴン怒りの鉄拳」など名作映画と同名の5作品で構成される。登場人物や場所など映画の設定を踏襲しつつ、友情や復讐(ふくしゅう)、家族愛について独自の物語が展開していく。
5つのストーリーは夏休み最後の日に開催される「ローマの休日」の上映会で交錯する。出版元の集英社は、小説の内容にちなんでシネマナイトを開催。250組の枠に、3倍を超える769通の応募があるほどの反響があった。
≪5歳の出会い≫
金城さんは「映画という“物語”に救われたから、小説という同じ物語でお返しをしたかった」と込めた思いを語る。
「半自伝的」といわれる『GO』など高校生の痛快な日常を描いた作品の印象が濃い。実際、金城さんは自作品の登場人物のように、冗舌で冗談好き。しかし、映画に対する姿勢は真摯(しんし)だ。
5歳の映画との“出会い”から、「公開作品と、毎週3本のテレビ映画を見てきた」という。親交の深い映画プロデューサー、黒澤満さんは金城さんについて「気持ち良いくらい映画を愛し、語ってくれる」と目を細める。
デビュー作『レヴォリューションNo.3』の冒頭で「ダイ・ハード」「レイダース」に触れるなど金城作品には、決まって映画が顔を出してきた。そのため、評論などの依頼が相次いだが、金城さんにとって「身近な友達である映画を、突き放して客観的に語りたくなかった」。
≪バトンタッチ≫
『映画篇』の執筆に踏み切ったきっかけは、2005年に公開された、自身の小説『フライ、ダディ、フライ』の映画版で脚本を担当したこと。「製作現場を知って、映画と本当に仲良くなれた」。
恋愛やアクションなどジャンルの異なる5作品を選び、映画を上回る物語を目指してアレンジし、書き上げた。「材料にするだけでなく、映画と触発し合う関係でいたかった」からだ。映画への思いが伝わったのか、これまでに7万部が売れた。
物語へのこだわりは、親友の死をきっかけに作家を目指した20歳の時から。以来、毎日多いときは2冊の本を読みあさり、1本は映画を見るなど「物語の勉強」を続けた。
オリジナルを作り出そうと悩んだが、「時代は変わっても、物語の種類や語っていることは変わらない」と気づき、「愛や友情など大事なことを忘れないために、時代を超えて物語の“バトンタッチ”を続けている」と受け止めた。
映画からのバトンリレーは、まだまだ続く。「次はタイムスリップや、ホラーを考えている。映画のジャンルにあるものはすべて書きたい」。
≪シネマナイト≫
「“やんちゃ”な高校生の話が多かったこれまでの作品と異なり、『映画篇』はきれいな話で感動した」
短編集『映画篇』の内容を追体験するイベントが東京・銀座で開かれ、約400人のファンが詰め掛けた。
8月31日に東京・銀座で開かれた映画上映会「金城一紀シネマナイト」で、20代の男性はこう語った。デビュー作からのファンだという30代の女性は「読んでいくうちに物語がつながって、どんどん引き込まれていく。金城作品で一番好き」と興奮気味に話す。
『映画篇』は、「太陽がいっぱい」「ドラゴン怒りの鉄拳」など名作映画と同名の5作品で構成される。登場人物や場所など映画の設定を踏襲しつつ、友情や復讐(ふくしゅう)、家族愛について独自の物語が展開していく。
5つのストーリーは夏休み最後の日に開催される「ローマの休日」の上映会で交錯する。出版元の集英社は、小説の内容にちなんでシネマナイトを開催。250組の枠に、3倍を超える769通の応募があるほどの反響があった。
≪5歳の出会い≫
金城さんは「映画という“物語”に救われたから、小説という同じ物語でお返しをしたかった」と込めた思いを語る。
「半自伝的」といわれる『GO』など高校生の痛快な日常を描いた作品の印象が濃い。実際、金城さんは自作品の登場人物のように、冗舌で冗談好き。しかし、映画に対する姿勢は真摯(しんし)だ。
5歳の映画との“出会い”から、「公開作品と、毎週3本のテレビ映画を見てきた」という。親交の深い映画プロデューサー、黒澤満さんは金城さんについて「気持ち良いくらい映画を愛し、語ってくれる」と目を細める。
デビュー作『レヴォリューションNo.3』の冒頭で「ダイ・ハード」「レイダース」に触れるなど金城作品には、決まって映画が顔を出してきた。そのため、評論などの依頼が相次いだが、金城さんにとって「身近な友達である映画を、突き放して客観的に語りたくなかった」。
≪バトンタッチ≫
『映画篇』の執筆に踏み切ったきっかけは、2005年に公開された、自身の小説『フライ、ダディ、フライ』の映画版で脚本を担当したこと。「製作現場を知って、映画と本当に仲良くなれた」。
恋愛やアクションなどジャンルの異なる5作品を選び、映画を上回る物語を目指してアレンジし、書き上げた。「材料にするだけでなく、映画と触発し合う関係でいたかった」からだ。映画への思いが伝わったのか、これまでに7万部が売れた。
物語へのこだわりは、親友の死をきっかけに作家を目指した20歳の時から。以来、毎日多いときは2冊の本を読みあさり、1本は映画を見るなど「物語の勉強」を続けた。
オリジナルを作り出そうと悩んだが、「時代は変わっても、物語の種類や語っていることは変わらない」と気づき、「愛や友情など大事なことを忘れないために、時代を超えて物語の“バトンタッチ”を続けている」と受け止めた。
映画からのバトンリレーは、まだまだ続く。「次はタイムスリップや、ホラーを考えている。映画のジャンルにあるものはすべて書きたい」。