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夢追い続ける格好良さ〜映画「世界最速のインディアン」

タイトルの「インディアン」から「え?アメリカ先住民族の差別用語じゃ?」と思う方もいるかもしれない。が、「インディアン」というバイクに生涯をかけた男性の話で、展開はストレートで単純ではあるが、主人公は人間的にとても魅力的で、見た後には晴れ晴れとした気持ちなれる良い映画だった。

 ニュージーランドで年金暮らしをしているバイクとスピードが大好きな62歳のバート・マンロー。20代で出会った愛車の「1920年型インディアン・スカウト」を40年以上かけ、貧乏ながらもユニークなアイデア(ブランデーのコルクがオイルタンクの栓!隣家から借りたナイフで削ったタイヤ!)で、世界最速を追求するため改造しつづけていた。

 バートは若い頃から、ライダーの聖地である米ユタ州ボンヌビルの塩の平原で行われるスピード記録測定会“スピードウィーク”に挑戦する夢を持ち続けてきた。しかし、年金暮らしの彼に、米国に行く金は到底払えるものではなかった。

 そんなある時、持病の心臓発作が起きてしまう。命は残り少ないと考えたバート。夢をかなえるため、ガールフレンドや周囲の人の助けを借りながら「インディアン」とともに米国への渡航を決意する。ボンヌビルを目指す旅の中で、彼はいくつかの困難にも遭遇するが、そこで出会う人達に助けられながら、「どうしても走りたい」という熱い思いで乗り越えていく。

 「羊たちの沈黙」「ハンニバル」などで有名なアンソニー・ホプキンスが主演。ホラー映画に登場してきた彼のイメージを一新する、おちゃめで明るくまっすぐに生きるパワフルな62歳のおじいちゃんを演じた。ホプキンス演じるバートおじいちゃんの、相手が誰であっても変わらない、優しく明るいおおらかな性格はとても魅力的。冗談を言ってとぼけてみたり、真剣なまなざしで瞳をまっすぐ見つめる表情は抜群に格好良い。

 映画に登場するバート・マンロー氏は実在した人物。映画が作られる数十年前、ロジャー・ドナルドソン監督がまだ駆け出しだったころ、彼はバートのガレージを訪ね、「Offering to the God of Speed」というドキュメンタリー番組を制作し、地元ニュージランドのテレビで放送した。

 しかし、「まだ描ききれないことがある」と、この物語を30年間温め続け、バートの性格や台詞を彼の息子と何度も話し合いながら、今回の映画を作り上げたそうだ。そんな監督が書きあげた脚本はさすがで、心に残る言葉が多かった。

「夢を持たない人間は野菜と同じだ。キャベツだ」
「年寄りは死ぬだけと思ってる……冗談じゃない」

 映画の中でバートが語る台詞である。

 上映中は会場に笑い声が聞こえたり、終盤には涙がこぼれるシーンもあり、エンドロールが流れた後には、自然と心が温まった。

 バイクのことはよく分からない私も、62才のおじいちゃんに、何か1つのことに生涯をかける格好良さ、夢を追い続ける勇気を教えてもらえる映画だった。

 公開は1月だそうだ。元気をもらいたい人にオススメです!

JAN JAN
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